JPM / VALUE IN MOTION01 / 05

IGNITION / 01

可能性を、起動する。まだ名前のない事業が、動き始めます。JPM / NEXT EXPERIENCE

課題別ガイド / 定着・育成

IT業界で若手・中堅の離職が止まらない

退職届が出る前に、本人は『ここにいても次の経験が積めない』と感じているかもしれない。給与、配属、上司、技術的負債、キャリアの行き詰まりを一つの満足度にまとめると、違う原因に同じ対策を打ってしまう。

編集:日本プロダクトマネジメント合同会社 · 公開・更新 · 約5分
学びを仕事へつなげる場面
テーマを理解するためのイメージ。特定企業の成果事例を示す写真ではありません。

まず、結論

業界の離職率は比較の入口になるが、若手の成長停滞や特定上司の問題までは説明しない。全社の平均が低くても、重要な職種・案件で離職が集中していれば対処が必要。

まず、原因を切り分ける

離職を入社90日以内、1年以内、中堅の3群に分け、案件・役割・上司・働き方ごとに人数と理由を並べる。退職者だけでなく、同じ環境で続けている社員にも話を聞く。残った人の声だけでは離職した人の不満が見えないし、退職者の声だけでは続けられる条件が分からない。

原因の候補と、先に確認する証拠(JPMの実務仮説)
原因の候補確認する証拠先に変えること
成長の停滞任される工程が変わらない設計・レビューの機会
負荷の集中特定案件の残業と離職配置と仕事量を調整
条件の不一致給与・配属への期待差条件と説明を見直す

自社への3つの問い

  1. 辞めた人は、何を経験できると期待して入社したか。
  2. 希望する技術・役割と実際の配属を、本人と上司は同じ言葉で説明できるか。
  3. 案件の変更、レビュー支援、評価の説明で解消できる不満はどれか。

この課題に使える根拠

情報通信業の統計と、自社の技術者の離職は分けて考える

2025年・情報通信業の一般労働者。年初の常用労働者数に対する年間の入職・離職の推計値(概況11ページ・表3)。

年間入職率
13.1%
年間離職率
10.0%

出典:厚生労働省 / 2025年雇用動向調査(2026年8月31日公表) 原資料 ↗

数字・資料の読み方情報通信業には技術者以外も含まれ、一般労働者は正社員だけではありません。自社の若手技術者の目標値でも、キャリア施策の効果の証拠でもありません。

人事の判断にどう使うか

JPMの読み解き・実務仮説業界の離職率は比較の入口になるが、若手の成長停滞や特定上司の問題までは説明しない。全社の平均が低くても、重要な職種・案件で離職が集中していれば対処が必要。

最初に確認する自社データ・現場の声

自社の同じ定義の年率を確認したうえで、技術者の在籍人数と退職人数を年代・案件・上司別に並べ、継続社員にも成長機会を聞く。

なぜ、その打ち手を選ぶのか

成長の実感は勉強会の回数だけでは生まれない。学んだことを仕事で使い、レビューを受け、次に難しい仕事へ進めることがつながって初めて『ここで働くと次の力がつく』と感じられる。この連鎖のどこが止まっているかを見る。案件の選択権がない会社でも、担当工程、設計レビュー、改善活動など変えられる範囲がある。退職のすべてを防ぐのではなく、避けられた期待差を減らす。

自社に当てはめる仮想例

仮想例。若手が『新しい技術を使いたい』と話した。すぐに新規案件へ異動させる前に、何をしたいのかを確認すると、実は設計判断を経験したいという希望だった。既存案件の改善設計とレビュー参加を任せ、判断の理由を説明する機会を作る。確認するのは満足度だけでなく、本人がどんな判断をできるようになったか。これは成果事例ではなく、原因を具体化するための考え方の例。

別の原因なら、別の打ち手

給与水準が明らかに市場とずれているなら、キャリア面談だけでは解消できない。過度な負荷があるなら、学習支援より仕事量の調整を先にする。仕事内容が本人の希望と根本的に違うなら、配置変更の可能性と限界を正直に話す。学びの不足、報酬、負荷を同時に変える場合は、どの変更に反応したかを後から推測せず、本人の説明と仕事の記録で確認する。

  1. 01原因の証拠
  2. 02変える条件
  3. 03担当と試行
  4. 04行動の変化
  5. 05継続・修正
JPMによる実務の整理。統計上の因果関係を表す図ではありません。

5つの施策を、同じ観点で比較する

費用や効果量は一律に置かず、自社条件で見積もる
施策最初の着手見る指標
配属期待のすり合わせ直近の入社者と配属先に別々に聞き、入社前に聞いた仕事と現在の仕事を一枚に並べる。期待と実態の一致度、配属相談の解決件数、入社90日定着率
技術職のキャリアラダー現役エンジニアと、次の等級で期待する具体的な成果を三つずつ言語化する。役割理解度、成長機会への納得感、専門職の内部昇格数
ステイインタビュー評価面談と別の時間に、続けたい仕事、避けたい状態、会社に求める支援を聞く。相談から回答までの日数、対応完了率、面談後の安心感
レビューとメンターの再設計新入社員が直近で困った場面を集め、技術相談と社内手続きの相談先を分ける。質問が止まっていた時間、レビュー待ち時間、初回成果までの日数
技術的負債と負荷の可視化障害対応、手戻り、手作業の時間をチームで一週間記録し、負担の大きい一つを選ぶ。障害対応時間、手戻り、残業の偏り、改善提案の実行率

担当候補:人事・技術責任者・配属責任者。期待する変化は「社員が次に積める経験と相談先を説明でき、配属の約束と実態のずれが修正される。」。ただし、1on1の回数だけ増やし、配属や仕事の変更権限を持つ人が対応しない。相談が記録されるだけなら、本人の期待はさらに下がる。

5施策の実行手順と失敗条件

1. 配属期待のすり合わせ
なぜ効くと考えるか
『成長できる』という曖昧な約束を、担当工程、使用技術、レビュー役、任せる範囲に分ける。期待との差が見えれば、退職以外の選択肢を具体化できる。
最初にすること
直近の入社者と配属先に別々に聞き、入社前に聞いた仕事と現在の仕事を一枚に並べる。
実行と成果物
本人・配属責任者で変更できる項目と変更できない項目を分け、修正期限を合意する。案件の都合で変更できない場合も、次の見直し日を決める。
見る指標
期待と実態の一致度、配属相談の解決件数、入社90日定着率
失敗しやすい点
希望どおりの案件を全員に約束しない。配置変更が難しい場合は理由と代替経験を説明する。
この課題の施策比較・社内提案へ →
2. 技術職のキャリアラダー
なぜ効くと考えるか
管理職だけが昇格先だと、技術を深めたい社員は社外に道を探す。専門性、設計、育成など複数の貢献を評価できると、残る意味を説明しやすい。
最初にすること
現役エンジニアと、次の等級で期待する具体的な成果を三つずつ言語化する。
実行と成果物
役割別の到達例、必要な経験、評価証拠、上司が提供する仕事をまとめる。学習目標と実案件の機会を結び、半年後に実績を見直す。
見る指標
役割理解度、成長機会への納得感、専門職の内部昇格数
失敗しやすい点
表だけ作り、昇給や仕事の機会が変わらなければ期待を裏切る。評価運用と一緒に設計する。
この課題の施策比較・社内提案へ →
3. ステイインタビュー
なぜ効くと考えるか
退職面談は改善の機会として遅い。続けている理由と辞めたくなる条件を先に聞くことで、失う前に調整できる余地を見つける。
最初にすること
評価面談と別の時間に、続けたい仕事、避けたい状態、会社に求める支援を聞く。
実行と成果物
本人が共有に同意した課題だけを対応台帳に載せる。上司に言いづらい案件は人事窓口で受け、担当と回答予定日を本人に伝える。
見る指標
相談から回答までの日数、対応完了率、面談後の安心感
失敗しやすい点
退職意思を尋問しない。回答を査定へ転用すると、社員は本音を話さなくなる。
この課題の施策比較・社内提案へ →
4. レビューとメンターの再設計
なぜ効くと考えるか
分からないことを一人で抱える状態では、成長実感より失敗への不安が先に立つ。質問できる相手と良い仕事の見本があると、学習の障壁を下げられる。
最初にすること
新入社員が直近で困った場面を集め、技術相談と社内手続きの相談先を分ける。
実行と成果物
メンターの担当人数、相談枠、レビュー対象、エスカレーション先を決める。レビューで指摘するだけでなく、判断の理由と次の練習課題を残す。
見る指標
質問が止まっていた時間、レビュー待ち時間、初回成果までの日数
失敗しやすい点
メンターへの善意の依存は続かない。指導時間を業務として確保し、本人の評価にも反映する。
この課題の施策比較・社内提案へ →
5. 技術的負債と負荷の可視化
なぜ効くと考えるか
古い仕組みそのものより、『改善したくても何も変えられない』感覚が不満になる場合がある。負債改善を仕事として認めれば、裁量と専門性への尊重を示せる。
最初にすること
障害対応、手戻り、手作業の時間をチームで一週間記録し、負担の大きい一つを選ぶ。
実行と成果物
事業責任者と改善枠を合意し、削減した手作業時間と開発上の学びを共有する。新規機能との優先順位を明示して、改善が常に後回しになる状態を見直す。
見る指標
障害対応時間、手戻り、残業の偏り、改善提案の実行率
失敗しやすい点
改善時間の確保が顧客対応へ影響する場合は優先順位を調整する。技術の新しさだけを目的にしない。
この課題の施策比較・社内提案へ →

最初の30日を、小さく試す

30日では最終成果を断定せず、実行と先行する変化を確認
時期決める・確かめること残す記録
1週目自社の同じ定義の年率を確認したうえで、技術者の在籍人数と退職人数を年代・案件・上司別に並べ、継続社員にも成長機会を聞く。対象人数・期間・現在の状態
2週目人事・技術責任者・配属責任者と担当・時間・権限を合意する実行条件と予算・協力時間
3週目実施後に『辞めた人は、何を経験できると期待して入社したか。』を再確認する利用できた人・障害・反対の声
4週目継続・修正・中止を判断する変化・同時に変えた条件・次の確認日

実行チェック

出典・対象・関連記事

資料確認:2026年10月8日。原資料の必要な要点を独自に要約し、図解・比較表・実行手順はJPMが設計。実務仮説や仮想例は、効果が実証された事例ではありません。専門家の個別監修を受けた記事とは表示していません。

出典・更新・AI利用の方針 / 運営会社 / 情報の訂正・問い合わせ

一緒に読む

記事一覧へ戻る →