まず、結論
増員計画は純増だけでなく退職補充が必要。一般とパートで移動の水準が異なるため、全社一律の退職想定では職種別の必要採用人数がずれやすい。
まず、原因を切り分ける
事業の需要、業務量、必要技能、現在の稼働を整理する。人数ではなく仕事量や提供すべきサービスから不足を出す。退職補充、成長分、繁閑差を分け、育成期間も入社日とは別に計算する。
| 原因の候補 | 確認する証拠 | 先に変えること |
|---|---|---|
| 仕事量の増加 | 工程別の件数と時間 | 量を人数へ変換 |
| 技能の偏り | 重要判断の担当者 | 育成と配置を比較 |
| 計画の遅れ | 採用リードタイム | 代替策と発動条件 |
自社への3つの問い
- 不足しているのは人数か、特定の技能か、繁忙期の時間か。
- 仕事を減らす、分ける、外部へ頼む選択肢はあるか。
- 採用してから独力で働けるまで何か月かかるか。
この課題に使える根拠
離職を比べるときは、働き方の違いを揃える
2025年の年間離職率。全国16大産業・常用労働者5人以上の事業所。年初の常用労働者数を分母とする推計値(概況6ページ・表1)。
- 一般労働者の年間離職率
- 11.4%
- パートタイム労働者の年間離職率
- 19.9%
出典:厚生労働省 / 2025年雇用動向調査(2026年8月31日公表) 原資料 ↗
数字・資料の読み方一般労働者はパート以外で、正社員だけではありません。出向等も含みます。入社90日離職率や自発的退職だけの割合とは比較できません。調査全体の有効回答は上半期9,277、下半期8,807事業所。
人事の判断にどう使うか
JPMの読み解き・実務仮説増員計画は純増だけでなく退職補充が必要。一般とパートで移動の水準が異なるため、全社一律の退職想定では職種別の必要採用人数がずれやすい。
最初に確認する自社データ・現場の声
期首人数+入社−退職=期末人数を雇用形態・部署別に作り、自社実績を使った低・中・高の補充想定を置く。外部の年率をそのまま掛けない。
なぜ、その打ち手を選ぶのか
必要人数は売上の伸びに比例するとは限らない。仕事のやり方、技能、品質、繁閑、外部活用で必要な稼働は変わる。人員計画は需要と供給の両方を考える。退職者の補充でも仕事をそのままコピーせず、止める作業と残す判断を整理する。採用後の学習期間を含めることで、入社が決まったのに事業の仕事が始まらない問題を見つけられる。
自社に当てはめる仮想例
仮想例。現場から二人の補充要望があった。仕事を確認すると、一部の定常作業は標準化でき、繁忙期の短期対応も混ざっていた。業務削減、応援、一人の継続採用を組み合わせて検討する。人数を減らすことが目的ではなく、仕事が成立するかを確認する。試行後は品質、残業、未処理を見て、過少な人数になっていないか再判断する。
別の原因なら、別の打ち手
需要が不確実な事業では、一つの人数に固定せず複数の需要シナリオを作る。内部異動を使う場合は元部署の不足も計画に含める。業務委託は管理と引き継ぎの工数があるため、外部に出せば人員計画が不要になるわけではない。採用が必要と判断したら、処遇と市場、育成の制約を事業責任者と共有し、遅れた場合の選択肢を先に決める。
- 01原因の証拠
- 02変える条件
- 03担当と試行
- 04行動の変化
- 05継続・修正
5つの施策を、同じ観点で比較する
| 施策 | 最初の着手 | 見る指標 |
|---|---|---|
| 業務量からの要員試算 | 一部署で処理量、標準的な時間、繁忙期、現在の稼働を記録する。 | 需要予測の誤差、稼働の偏り、未処理業務 |
| 補充と成長採用の分離 | 採用要望を退職補充、事業拡大、技能獲得、季節対応に分類する。 | 欠員期間、優先職種の充足、計画変更の理由 |
| 採用・育成の逆算工程 | 職種ごとに承諾、退職交渉、入社、初期教育にかかる実績を集める。 | 採用工程の遅延、入社後の自立時期、受入負荷 |
| 採用以外の代替比較 | 不足する仕事の成果と期限を整理し、継続性と自社に残す知識を確認する。 | 開始までの日数、業務達成、社内に残る技能 |
| 月次の要員見直し | 採用予定、入社実績、退職、需要変化、育成進捗を同じ表に並べる。 | 需要と稼働の差、計画変更、採用・育成の進捗 |
担当候補:経営・事業責任者・人事・経理。期待する変化は「必要な仕事、人数、採用期限、育成期間が同じ計画で説明できる。」。ただし、退職者と同じ経歴を探すことが目的になり、引き継ぐ仕事の再設計をしない。
5施策の実行手順と失敗条件
1. 業務量からの要員試算
- なぜ効くと考えるか
- 人数の要望を仕事量へ変換すると、採用が必要な理由を事業と結びつけられる。前提が見えるので計画変更にも対応できる。
- 最初にすること
- 一部署で処理量、標準的な時間、繁忙期、現在の稼働を記録する。
- 実行と成果物
- 必要稼働と供給稼働を比べ、品質、休暇、育成、予備対応の時間も含める。過去の残業を標準能力と見なさず、前提を責任者と確認する。
- 見る指標
- 需要予測の誤差、稼働の偏り、未処理業務
- 失敗しやすい点
- 時間だけでは測れない専門職は成果や案件数も使う。過度に精密な推定を装わない。
2. 補充と成長採用の分離
- なぜ効くと考えるか
- 欠員補充と新規事業では必要な期限と不確実性が違う。同じ予算枠にすると優先順位が見えなくなる。
- 最初にすること
- 採用要望を退職補充、事業拡大、技能獲得、季節対応に分類する。
- 実行と成果物
- 職種ごとに空席で止まる仕事と採用しない場合の代替を記録する。緊急性だけでなく事業の影響と受入余力で順番を決める。
- 見る指標
- 欠員期間、優先職種の充足、計画変更の理由
- 失敗しやすい点
- すべてを最優先とすると計画にならない。決裁者が優先順位を引き受ける。
3. 採用・育成の逆算工程
- なぜ効くと考えるか
- 入社日と戦力化日は違う。育成期間を先に入れると、事業で必要な時期から現実的に逆算できる。
- 最初にすること
- 職種ごとに承諾、退職交渉、入社、初期教育にかかる実績を集める。
- 実行と成果物
- 必要な稼働日から逆算して、選考開始と要件確定の期限を置く。遅れた場合に外部協力や業務削減を検討する判断日も決める。
- 見る指標
- 採用工程の遅延、入社後の自立時期、受入負荷
- 失敗しやすい点
- 最短実績だけを計画値にしない。ばらつきと引き継ぎの遅れを考慮する。
4. 採用以外の代替比較
- なぜ効くと考えるか
- 採用、育成、異動、業務委託、業務削減を同じ表で見ると、雇用だけでは間に合わない仕事への選択肢が増える。
- 最初にすること
- 不足する仕事の成果と期限を整理し、継続性と自社に残す知識を確認する。
- 実行と成果物
- 費用、開始時期、責任範囲、品質、引き継ぎを比較する。外部に頼む場合は雇用との違いを整理し、成果と情報管理を合意する。
- 見る指標
- 開始までの日数、業務達成、社内に残る技能
- 失敗しやすい点
- 外部活用で管理が不要になるわけではない。契約と指示の運用は専門家と確認する。
5. 月次の要員見直し
- なぜ効くと考えるか
- 年度初めの計画を固定すると、需要と退職の変化に対応できない。前提と実績の差を毎月確認する。
- 最初にすること
- 採用予定、入社実績、退職、需要変化、育成進捗を同じ表に並べる。
- 実行と成果物
- 計画を変えた理由と事業への影響を記録する。未充足だけでなく、採用後の配置や過剰な採用のリスクも見て、次月の優先順位を決める。
- 見る指標
- 需要と稼働の差、計画変更、採用・育成の進捗
- 失敗しやすい点
- 人事だけで表を更新しても判断は進まない。事業責任者が見直しに参加する。
最初の30日を、小さく試す
| 時期 | 決める・確かめること | 残す記録 |
|---|---|---|
| 1週目 | 期首人数+入社−退職=期末人数を雇用形態・部署別に作り、自社実績を使った低・中・高の補充想定を置く。外部の年率をそのまま掛けない。 | 対象人数・期間・現在の状態 |
| 2週目 | 経営・事業責任者・人事・経理と担当・時間・権限を合意する | 実行条件と予算・協力時間 |
| 3週目 | 実施後に『不足しているのは人数か、特定の技能か、繁忙期の時間か。』を再確認する | 利用できた人・障害・反対の声 |
| 4週目 | 継続・修正・中止を判断する | 変化・同時に変えた条件・次の確認日 |
実行チェック
出典・対象・関連記事
- 厚生労働省 / 2025年雇用動向調査(2026年8月31日公表) ↗2025年の年間離職率。全国16大産業・常用労働者5人以上の事業所。年初の常用労働者数を分母とする推計値(概況6ページ・表1)。
資料確認:2026年10月8日。原資料の必要な要点を独自に要約し、図解・比較表・実行手順はJPMが設計。実務仮説や仮想例は、効果が実証された事例ではありません。専門家の個別監修を受けた記事とは表示していません。
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