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課題別ガイド / 働く環境

福利厚生があるのに使われない

制度の一覧が豪華でも、従業員が困る場面で使えなければ価値は生まれない。使われない理由は認知不足、手続き、利用時間、上司の反応、対象のずれなどに分かれる。

編集:日本プロダクトマネジメント合同会社 · 公開・更新 · 約4分
実際の作業と技能を示す現場の写真
テーマを理解するためのイメージ。特定企業の成果事例を示す写真ではありません。

まず、結論

福利厚生の品目数と利用価値は別。利用条件、上司の承認、仕事を抜けられる時間が整って初めて、必要な人への支援になる。

まず、原因を切り分ける

制度を知っている、対象だと理解している、利用できる、利用して助かったの四段階で確認する。利用者だけでなく未利用者へ理由を聞く。高利用率が良いとは限らず、困った人が必要な時に使えるかを見る。

原因の候補と、先に確認する証拠(JPMの実務仮説)
原因の候補確認する証拠先に変えること
知らない制度の認知案内の接点を修正
使えない条件・承認・時間利用障壁を除く
必要でない対象者の困りごと支援対象を再検討

自社への3つの問い

  1. 従業員が現在困っている生活や身体の課題は何か。
  2. 利用すると周囲に負担をかけると感じていないか。
  3. 制度の費用と実際に助かった場面が対応しているか。

この課題に使える根拠

制度の存在と、現場で役立つことは同じではない

2025年8月号・先行研究を整理した論文。管理者の運用や従業員の認識を区別する論点を要約。下記の確認例はJPMによる実務への翻訳です。

設計を確認
対象・条件・責任者が明確か
運用を確認
上司が案内し、本人が実際に使えるか
受け止め方を確認
本人が支援として理解し、仕事に活かせるか

出典:日本労働研究雑誌/労働政策研究・研修機構 / 穴田貴大・丸子敬仁・江夏幾多郎『「施策の浸透」は人事施策と業績の関係をどうつなぐのか?』 原資料 ↗

数字・資料の読み方論文は、意図どおりの浸透が常に有効とは限らず、現場の状況や相互作用も論点としています。上記3段階は成功の公式ではなく、原因を探す観点です。

人事の判断にどう使うか

JPMの読み解き・実務仮説福利厚生の品目数と利用価値は別。利用条件、上司の承認、仕事を抜けられる時間が整って初めて、必要な人への支援になる。

最初に確認する自社データ・現場の声

制度を知らない、条件に合わない、使いづらい、必要ない、を分けて聞く。利用率だけで不要と判断しない。

なぜ、その打ち手を選ぶのか

制度の価値は『ある』から『使える』、そして『必要な場面で助かった』へ進む。利用が少なくても対象者が限られた制度は価値があるし、利用が多くても働く障壁へ効いていない場合がある。制度ごとに解きたい課題と対象を先に決めると、利用率の数字だけで存廃を決めずに済む。利用者と未利用者、制度を使えない働き方の人を分けて確認する。

自社に当てはめる仮想例

仮想例。健康支援の利用が少なく、会社は認知不足と考えた。未利用者に聞くと勤務中の時間が取れず、予約も難しかった。案内を増やすより時間帯と申請を変え、必要な人が利用できるかを確認する。満足した声は体験価値として紹介できるが、離職防止や疾病改善の証拠にはしない。職場環境の改善が同時に必要なら、それも別の担当で進める。

別の原因なら、別の打ち手

会社全体に同じ制度を増やす前に、対象の困りごとに絞る。金銭支援だけで解決しない時間や上司の反応も見る。整体など身体ケアは医療や安全管理の代わりにしない。制度を利用した人の定着が良くても、もともと定着しやすい人が利用した可能性がある。社員の声、利用条件、継続的な行動を合わせて価値を説明する。

  1. 01原因の証拠
  2. 02変える条件
  3. 03担当と試行
  4. 04行動の変化
  5. 05継続・修正
JPMによる実務の整理。統計上の因果関係を表す図ではありません。

5つの施策を、同じ観点で比較する

費用や効果量は一律に置かず、自社条件で見積もる
施策最初の着手見る指標
生活障壁からの制度設計勤務時間、育児、介護、学習、通勤などの困りごとを任意で聞く。必要時の利用可能性、対象者の役立ち度、負担の変化
利用手続きの改善対象社員に申請を試してもらい、分からない項目と承認待ちを記録する。申請完了率、処理時間、利用前の問い合わせ
身体ケアの小規模導入対象社員に、作業やデスクワークで負担を感じる場面を任意で聞く。任意利用率、役立ち度、利用時の不便、負担の声
選択型福利厚生現在の制度と社員のニーズを比べ、対象外になっている支援を確認する。対象層別の利用、役立ち度、管理工数
上司の利用支援未利用者に、申請以外の障壁と周囲の反応を聞く。利用への心理的障壁、部署間の利用差、申請後の対応

担当候補:人事・労務・現場責任者。期待する変化は「対象者が必要な場面で制度を使え、働き続ける障壁が減る。」。ただし、人気ランキングで制度を選び、対象社員の困りごとや利用条件を確認しない。

5施策の実行手順と失敗条件

1. 生活障壁からの制度設計
なぜ効くと考えるか
一般的な人気ではなく、働くことを難しくしている生活課題から選ぶ。対象と目的を絞れば、制度が必要な理由を説明できる。
最初にすること
勤務時間、育児、介護、学習、通勤などの困りごとを任意で聞く。
実行と成果物
対象者、必要な支援、利用場面、提供条件を整理し、一つの制度で試す。全員への同一提供と公平性は同じではないので、選定理由を説明する。
見る指標
必要時の利用可能性、対象者の役立ち度、負担の変化
失敗しやすい点
個人の家庭事情を無理に収集しない。必要な範囲で匿名や集計を使う。
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2. 利用手続きの改善
なぜ効くと考えるか
価値があっても申請が複雑なら使えない。認知から利用までの途中で止まる場所を減らす。
最初にすること
対象社員に申請を試してもらい、分からない項目と承認待ちを記録する。
実行と成果物
申請先、必要書類、利用期限、承認条件を簡潔にする。問い合わせ窓口を設け、上司の解釈で利用可否が変わらないようにする。
見る指標
申請完了率、処理時間、利用前の問い合わせ
失敗しやすい点
手続きを簡単にしても規程や費用管理を外さない。変更範囲を担当者と確認する。
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3. 身体ケアの小規模導入
なぜ効くと考えるか
身体の負担への支援は、働き続ける障壁への一つの打ち手。整体等は体験価値を確認し、医療や安全管理とは役割を分ける。
最初にすること
対象社員に、作業やデスクワークで負担を感じる場面を任意で聞く。
実行と成果物
つるまる整体など提供者の範囲、資格、条件を確認し、希望者で試す。利用後の役立ち度と利用しにくさを集計し、作業環境の改善も検討する。
見る指標
任意利用率、役立ち度、利用時の不便、負担の声
失敗しやすい点
疾病の治療や離職防止の効果を約束しない。健康情報の扱いは慎重にする。
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4. 選択型福利厚生
なぜ効くと考えるか
必要な支援は生活段階で違う。選択肢を用意すると、一律制度では合わない社員にも価値を届けやすい。
最初にすること
現在の制度と社員のニーズを比べ、対象外になっている支援を確認する。
実行と成果物
費用上限、選択条件、利用ルールを決める。使いやすさと管理工数を試行し、選択肢が多すぎて選べない状態も確認する。
見る指標
対象層別の利用、役立ち度、管理工数
失敗しやすい点
選択肢を増やすほど良いとは限らない。法定制度とは区別して扱う。
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5. 上司の利用支援
なぜ効くと考えるか
制度があっても上司の反応で使いにくい場合がある。制度の説明と仕事の調整を管理職の運用に接続する。
最初にすること
未利用者に、申請以外の障壁と周囲の反応を聞く。
実行と成果物
利用時の仕事配分と引き継ぎを決め、制度利用で評価が不当に下がらないよう確認する。管理職にも利用条件と相談先を共有する。
見る指標
利用への心理的障壁、部署間の利用差、申請後の対応
失敗しやすい点
部署差だけで管理職を断罪しない。業務条件と対象者構成を確認する。
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最初の30日を、小さく試す

30日では最終成果を断定せず、実行と先行する変化を確認
時期決める・確かめること残す記録
1週目制度を知らない、条件に合わない、使いづらい、必要ない、を分けて聞く。利用率だけで不要と判断しない。対象人数・期間・現在の状態
2週目人事・労務・現場責任者と担当・時間・権限を合意する実行条件と予算・協力時間
3週目実施後に『従業員が現在困っている生活や身体の課題は何か。』を再確認する利用できた人・障害・反対の声
4週目継続・修正・中止を判断する変化・同時に変えた条件・次の確認日

実行チェック

出典・対象・関連記事

資料確認:2026年10月8日。原資料の必要な要点を独自に要約し、図解・比較表・実行手順はJPMが設計。実務仮説や仮想例は、効果が実証された事例ではありません。専門家の個別監修を受けた記事とは表示していません。

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